あがり症を克服したいと考える人の中で、最も多い悩みが「声の震え」です。
「緊張すると声が震えるんです・・・」や「息ができない・・・」という声が多く聞かれます。
これが、ダントツの一位です。
また、人前で緊張しても、「せめて声さえ震えなければ…」と願う人もたくさんいます。
これは、社会人の方に多く、長年会社に勤めていて人生経験が豊富な諸先輩でも、プレゼンが近づくと不安になる人が少なくないそう。
つまり、プレゼンのたびに声の震えが止まらなくなってしまう人が多いってことです。
そこで、ここでは、人前で緊張しすぎる原因と声の震えを止める方法を具体的にまとめました。
緊張で声が震える人のお役に立てば幸いです。
あがり症の人の悩みは共通している
大勢の前で話す際に緊張することは、誰しもが多かれ少なかれ経験したことのある「あがり体験」でしょう。
しかし、社会生活に支障が出るほど苦痛に感じる「あがり症」の人もいるのが現実です。
「あがり症は『社交不安障害』の1つです」と専門家は言います。
そんな人々のために、全国各地であがり症の克服講座なども開催されています。
そして、このようなあがり症改善の講座を受ける人の多くは30～40代であり、中には50代になって悩みを抱え続けている人も少なくありません。
特に、経営者の中にも、あがり症で悩む人が多いのも特徴です。
というのも、経営者や役職者になると、結婚式のスピーチや、歓送迎会、忘年会など、様々な場面で人前で話すことが多いためです。
そして、経営者であっても、1対1の場面ではスムーズに話せる人が、大勢の前では緊張するということがあるのです。
ですから、人生経験を積んでいても悩む人が多いということ。
つまり、早めにあがり症を克服することが、人生を楽しむための第一歩と言えるでしょう。
人前で緊張して声が震える原因
あがることで生じる症状は、体が緊張しているときに現れるものです。
その中でも、最も深刻なのが声の震えです。
声の震えに悩む人の多くは、学生時代、授業中に教科書を音読するときに声が震えてしまったのがきっかけになっていることが多いです。
中学から高校は思春期ということもあって、人目も気になりやすい。
できれば人前で失敗をしたくない。
そんな思春期の気持ちが、あがり症を深刻化させてしまっているのです。
では、なぜあがると心臓がドキドキして、声や手足が震えるのでしょうか？
その答えは、自律神経にあります。
自律神経系は、人間の生存に必要な機能を調整する神経です。
交感神経と副交感神経の2つがあり、緊張すると交感神経が優位になり、心拍数や体温、血圧が上昇し、発汗や震え、赤面などの反応が起こります。
これが「あがる」という状態です。
ただ、緊張やあがりは誰にでも起こりますが、それが「あがり症」という病的な状態につながるかは、緊張する場面を避けてしまうかどうかによります。
緊張する場面を避けることは一時的な解決策に過ぎず、長く続けると症状が悪化する恐れがあります。
緊張する場面に直面することは成長の機会であり、自己肯定感が低い人ほどあがり症になりやすいとされています。
なので、緊張することを決して恐れてはいけません。
誰にでもあることなのです。
ですから、自分を否定したり、情けないと思わなくても大丈夫です。
声の震えもあがり症から来ることはよくありますが、その改善は可能です。
失敗や落ち込みも経験するかもしれませんが、絶望する必要はありません。
そこで、ここからは、誰にでもできる方法を紹介します。
声の震え克服法～フィジカル編～
声の震えを克服するためには、まず体の使い方を知ることが重要です。
心の問題も大切ですが、体の使い方を改善することで、震えない声を出すこともできるようになるからです。
体は正直で、継続した努力が効果をもたらします。
以下では、声の震えを克服するためのポイントを紹介します。
１．体がリラックスしていること
緊張すると、声の震えや手足の震えが起こることがあります。
これは、不安や恐怖によって自律神経が乱れ、筋肉が緊張するためです。
しかし、緊張したときに胸や首の筋肉を緩めることができれば、声の震えを軽減することができます。
まずは、胸や首、肩の筋肉が緊張しているか確認し、緊張を解くストレッチを行いましょう。
これによって声の震えが軽減されます。
２．正しい姿勢
声の震えの原因の一つに、姿勢が悪くなることによる息詰まりがあります。
特に猫背の姿勢では、喉の息の通りが悪くなり、声が震えやすくなります。
緊張したときに猫背になってしまう人は多いですが、背筋を伸ばし、胸を開いて姿勢を正すことで声の震えを軽減できます。
３．深い呼吸
声の強さは呼吸の強さに関連しています。
呼吸が浅いと声が震えやすくなりますが、腹式呼吸を行うことで声の震えを改善できます。
普段の胸式呼吸ではなく、お腹を使って深く呼吸することが重要です。
腹式呼吸を行う方法は以下の通りです。
- 座ってもしくは仰向けに寝ます。
- 手を胸の上に置き、もう一方の手をお腹の上に置きます。
- 深く息を吸いながら、お腹が膨らむように意識します。胸よりもお腹が先に膨らむのを感じましょう。
- 息を吐きながら、お腹を内側に引き締めるように意識します。お腹がゆっくりと沈んでいくのを感じましょう。
- この呼吸を数回繰り返し、慣れてきたら日常生活や緊張した状況でも意識的に腹式呼吸を行います。
このように腹式呼吸を行うことで、声の震えを軽減させることができます。
４．強い発声
発声の力は、呼吸の力と密接に関係しています。
腹式呼吸を使って声を出すことで発声が強くなりますから、まずは短く強い発声をすることから始めましょう。
特に「ハ行」の音は、腹筋を使う必要があるので、練習に適しています。
「ハッ ハッ ハッ ハッ」
このように、お腹だけを使って声を出します。慣れてきたら、少しずつ長い発声に移ります。
「ハーーー ハーーー ハーーー ハーーー」
このように、四拍子ずつ声を出します。
しかし、喉に力が入ってお腹の力が抜けていると、声が安定しません。
これが、あがって声が震える人の発声方法です。
発声練習では、次の手順を踏んで腹式発声を身につけます。
- 喉をリラックスさせる。
- 腹式呼吸を行い、お腹を使って声を出す。
- 発声練習や原稿読みなどを通じて、段階的に腹式発声を習得する。
喉をリラックスさせ、腹式呼吸で強い息を出すことで、安定した声を得ることができます。
これにより、緊張している状況でもコントロールし、震えない声を出せるようになります。
５．滑舌の向上
滑舌の向上も重要です。
たとえば、人前のスピーチをするとき言葉に詰まったり、噛んだりする経験はありませんか？
これが続くと、緊張感が増して声の震えが大きくなります。
なので、滑舌を向上させることができれば、不安を減らすことができます。
あがり症の原因は不安や恐怖にあるため、滑舌の向上は有効な対策です。
まずは、正確に読む速さでゆっくりと読む練習から始めましょう。
以下のような文を使ってみてください。
「青い空に白い雲が浮かんでいる。」
このような文章を使って、口をしっかり開け、腹式発声を心がけましょう。
速さよりも正確さが重要です。
口の動きを意識して読むことで、滑舌が向上します。
滑舌の向上は難しいかもしれませんが、継続的なトレーニングで確実に向上します。
６． 適度な運動をする
適度な運動をすることで、身体の血流や代謝を促進し、筋肉や関節の柔軟性や強度を高めることができます。
また、運動はエンドルフィンなどの快感ホルモンの分泌を促す効果もあります。
運動は、ウォーキングやジョギング、ストレッチなどがおすすめです。
７． 水分や栄養を補給する
水分や栄養を補給することで、身体の水分量や栄養バランスを保つことができます。
水分や栄養が不足すると、身体の機能や免疫力が低下し、声の震えや疲労などの原因になることがあります。
水分や栄養は、水やお茶、果物や野菜、乳製品などがおすすめです。
８． 睡眠を十分に取る
睡眠を十分に取ることで、身体の疲れやストレスを回復し、心身のリズムやバランスを整えることができます。
睡眠は、声帯や喉の筋肉も休ませる効果もあります。
睡眠は、個人差はありますが、一日に約6～8時間程度が目安です。
声の震え克服法～メンタル編～
声の震えを克服するためには、体で学ぶ方法も重要ですが、緊張でパニックに陥ると普段できていたこともできなくなることがあります。
そのため、メンタル面でも対策を行うことが重要です。
レッスン中には、一人で自分の席にいるときには良い声が出るのに、前に出ると声が出なくなることがよくあります。
人前に出ると自信を失い、自分を過度に抑制してしまい、普段とは異なる振る舞いをしてしまうこともあります。
声の大きさと緊張は反比例の関係にあります。
声が大きければ緊張が下がり、声が小さければ緊張が高まります。
この法則を理解することは重要です。
緊張で声が小さくなり、周囲に聞こえないような声で話そうとすることがありますが、これでは緊張が増すだけで、声が震えてしまうことがよくあります。
こういった場合には、大きな声であいさつするトレーニングが効果的です。
その結果、大きな声が出せるようになります。
これにより、自らの限界を乗り越え、より自信を持って発声することができるようになるのです。
挨拶をするときに、意識して大きな声を出してみるというのは、自主性を促進するスキルが必要です。
恐れずに、日々の挨拶を大声で力強く行うことを心がけてみてください。
きっと、あなた自身が変わってきます。
人前に緊張する心を改善するための心理的なアプローチ
姿勢と反応を改善するためには、まずは心理的なアプローチが必要です。
心理的なアプローチとは、自分の気持ちや考え方を変えることです。
以下に、具体的な方法をいくつか挙げます。
① ポジティブシンキングをする
ポジティブシンキングとは、物事を肯定的に捉える考え方です。
ポジティブシンキングをすることで、自分の気持ちや行動に良い影響を与えることができます。
例えば、「話すことが苦手だ」という考え方を「話すことが上手くなりたい」という考え方に変えることです。
② 自分を肯定する
自分を肯定することで、自分の自信や価値感を高めることができます。
自分を肯定する方法は、自分の長所や成功体験を思い出したり、自分に褒め言葉をかけたりすることです。
③ 相手に興味を持つ
相手に興味を持つ相手に興味を持つことで、相手とのコミュニケーションを円滑にすることができます。
相手に興味を持つ方法は、相手の話を聞いたり、質問したり、共感したりすることです。
相手に興味を持つことで、相手の気持ちや考えを理解し、信頼関係を築くことができます。
声が震えたときのリカバリ方法を知っておく
声の震えを克服するためには、震えない声の出し方を知るだけでなく、震えが出た際のリカバリ方法も重要です。
自信があっても、失敗することはあります。
その時に起き上がる方法を知っていることは、自信を持つために必要なことです。
声が震えてしまったり、緊張で声が出なくなったりした場合、リカバリ方法を知っておくことが重要です。
以下がリカバリ方法です。
１．姿勢を正す
まずは体から改善します。
喉の通りが悪いと声の震えの原因になりますので、姿勢を確認しましょう。
猫背になっている場合は、背筋を伸ばし、胸や喉を広げ、肩や上半身の力を抜きます。
２．丹田に力を込めて息を吐く
声が震えるときは、発声が弱くなります。
息が浅くなり、お腹の力が使われていないことが原因です。
深い呼吸を意識し、お腹に力を集中させましょう。
丹田に力を込めて息を吐く方法を具体的に説明します。
- 立ち姿勢や座り姿勢で、背筋をまっすぐに伸ばします。
- 両手をお腹の辺りに当て、丹田（おへその少し下の部分）を意識します。
- 口を開けて深く息を吸います。この際、お腹が膨らむように意識します。胸や肩が上下するのではなく、お腹が膨らむようにします。
- 息を吸いきったら、口をゆっくりと開けて、丹田に力を込めながら口から息をゆっくりと吐きます。このとき、お腹がへこむように意識します。息を吐き切るまで、なるべく長くかけて息を吐きます。
- 吐いた息が終わったら、再度深く息を吸います。吸うときには、お腹が膨らむように意識し、力を込めて吸い込みます。
この呼吸を繰り返し行います。
息を吐くときは、常に丹田に力を込めることを意識し、深く吐き切るようにします。
３．間を置きながら息を吸う
声が震えたり、声が出なくなったりすると、息苦しく感じることがあります。
その際は、少し間を取ることでリカバリできます。
自分の話しの句読点のタイミングで一呼吸置き、深く息を吸いましょう。
震えない声を出すためには、たくさんの空気を取り込むことが必要ですが、緊張で呼吸が速くなっているとそれができないことがあります。
深い呼吸をすることで、たくさんの空気を蓄え、震えない発声を取り戻すことができます。
間を取ることで、沈黙が怖いと感じるかもしれませんが、それよりも震えた声が出たままという方が恥ずかしいことです。
間を取ることで聞き手には適切な休憩と思われますので、リカバリ時には約３～５秒の間を取ることをお勧めします。
４．表情を和らげる
呼吸が戻ったら、敢えて表情を緩めてみましょう。
緊張している時は、ほとんどの場合、顔が硬くなっています。
口角を上げてみてください。
笑顔を作ることで、脳がだまされてリラックスする効果があります。
これが締めくくりです。
すると胸の辺りが楽になってくることで、自分で「リカバリー成功！」と感じるスイッチになります。
これは成功体験です。
腹式発声を習得すると、こういったリカバリーができるようになります。
５．訓練
腹式発声の訓練は、毎日の継続が重要です。
1日休むと、3日前に戻ってしまいます。
少しずつの時間でも構いません。
最初は5分でも十分です。
腹式呼吸は、お腹と呼吸の動きを確認しながら、声を出して言いたいことを練習します。
同じ文章を毎日使うと、上達が分かりやすいのでお勧めです。
自宅で声が出しづらい環境なら、車の中などが適しています。
しかし、自分の意志だけで続けるのは難しい場合もあります。
継続するコツは、習い事に通うことです。
自分を取り巻く環境に身を置くことで、続けやすくなります。
まとめ
声の震えは、人前で話すときに起こりやすい現象ですが、準備と対策、練習と呼吸法、認知行動療法と対処法、姿勢と反応の改善法などを実践することで、克服することが可能です。
あなたも声の震えを克服して、人前で話すことに自信を持ちましょう。
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